神社修理

津島神社釿始式(ちょうなはじめしき)

 5月15日、津島神社において、工事の安全を祈願して釿始式が行われました。起工式と同じような儀式ではありますが、今回は神社様のご意向もあり、神職による祭儀のみならず、大工による工作に関わる儀式も行うことになりました。コロナ禍ということで、儀式は短縮して、且つ少人数の参列者で執り行われました。

 釿始式の内容は、山中より切り出した御木(みき)を運び入れ、鋸、釿、鉋などを用いて原木から用材へと製材する過程を儀式化したものです。神職による献饌、祝詞奏上の祭儀に引き続き、大工による儀式が行われます。儀式を全て行うとすれば、次のような流れとなりますが、今回は短縮版ということで、「鋸の儀」「墨矩・墨打の儀」「釿打の儀」のみを行いました。

  • 丈量の儀・・・尺杖(しゃくづえ)で御木の長さを測り、墨指(すみさし)を用いて墨を付ける
  • 鋸の儀・・・・鋸を用いて両木口を切り落とす
  • 墨矩・墨打の儀・・指矩(さしがね)を用いて両木口の中心に墨付けし、墨壺を用いて中心に墨線を打つ
  • 釿打の儀・・・釿(ちょうな)を用いて御木をはつり、製材する
  • 鉋の儀・・・・槍鉋(やりがんな)を用いて表面を削り、仕上げをする
墨矩の儀
釿始式に使う道具

 釿とは、湾曲させた木の柄に刃を取り付けた鍬形の斧で、立姿勢で足元に釿を振り下ろして材木をはつります。独特の亀甲模様が付き、梁や板などはこれだけで仕上げとすることもあります。古民家や城郭建築の梁などを注意深く見てみると、その模様が分かるかもしれません。

 儀式は滞りなく行われ、その後、総代の方々が釿や槍鉋など現代ではあまり見る機会のない道具に興味を持たれたようで、多くの質問をいただきましたので、儀式では使わなかった槍鉋の実演などをしてお答えしました。

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