文化財修理

茅葺型屋根の修理⑤<文化財の価値の再認識>

 屋根下地を作るにあたって小屋裏に入る必要があったため、お堂の中に入らせていただく機会が何度かありました。するとなんと、天井に立派な龍の水墨画が描かれているではありませんか!しかも、「峯雪」という雅号と落款もあります。修理前に、北会津村だった頃の「北会津村の文化財」や「北会津村誌」などの資料を集めましたが、天井絵があるという情報はなかったので、たいへん驚きました。さっそく会津若松市教育委員会文化課にも報告したところ、把握していなかったとのことで、会津の絵画史に詳しい方に照会してくださいました。「峯雪」ではなく「峰雪」と書く画人がいたということは分かったのですが、残念ながら、今のところそれ以上の回答はありません。

 また、町内会の方に、1月に年一度の御開帳があるということを教えていただいたので、工事は終わっていましたが、訪ねてみました。法要の後、ご婦人方による御詠歌の詠吟がありましたので、外で待機しており、終わった頃にお声掛けさせていただいたところ、快く観音様を拝ませてくださいました。たいへん整った美しいお像でした。年に一度しか御開帳されないというのはもったいない気もしましたが、それ故に長く大切に守られてきたのであろうとも思いました。

 文化財に指定されている物件でさえも、まだ文化財関係者が把握していないことがあるように思います。未指定物件であればなおさらのことです。私は会津若松市文化財保護審議会委員でもありますので、会津若松市としてもっと文化財の価値を再確認していく必要があるように感じました。

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