寺院修理

国宝白水阿弥陀堂災害復旧工事

 長らく更新が空いてしまいましたが、令和6年1月より郡山市にある旧福島県尋常中学校本館の災害復旧工事に、下請け業者として携わらせていただいています。令和3年及び4年の2回もの福島県沖地震による被害の復旧工事ですが、構造補強工事を伴い、令和8年度まで続く大規模な工事となっています。

 これに並行して、3月からはいわき市にある国宝白水阿弥陀堂の災害復旧工事を請け負わせていただいています。白水阿弥陀堂は、令和5年9月に台風13号による大雨で、床上20㎝の浸水被害を受けました。浄土式庭園を含む境内一帯が浸水し、ポンプを使った排水作業に数日を要したそうです。阿弥陀堂の内部は、須弥壇の中程まで水が上がりましたが、安置されている仏像には被害が及ばなかったことが幸いでした。管理する願成寺様のご努力により、境内の泥の掻き出しや堂内の清掃が進められ、浸水後約3週間で拝観が再開されましたが、床下には土砂が堆積し、木部にも泥やゴミが付いたままになっていました。浸水後すぐに、文化庁による現地調査が行われて復旧工事が検討され、補正予算により令和6年3月に災害復旧工事の発注がされました。入札を経て、弊社が請け負わせていただくことになったのです。

堂内に展示されている浸水時の写真

 今回の工事内容は、主に床下に堆積した土砂の鋤き取り、木部に付着した泥やゴミの清掃、そして傷んだ亀腹の補修となります。亀腹とは、縁下に立ち上がった通常は饅頭形の段差のことですが、白水阿弥陀堂の亀腹は時代が古く、緩やかな立ち上がりとなっています。漆喰塗りで仕上げられており、この漆喰を一旦鋤き取り、部分的には傷んだ中塗りから補修して、全面的に上塗り漆喰を塗り直すことになっています。壁の漆喰塗りと同じ左官工事となります。

 5月初旬より土砂の鋤き取りを始め、先週までに、床下木部の清掃、須弥壇内部の清掃、薬剤による床下の防腐防蟻処理まで終えました。これから、工事の様子を書いていきたいと思います。

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