修理工事が終わった白水阿弥陀堂で、これから境内の紅葉時期に合わせて「アミダナイト」と銘打ったイベントが行われます。昨日は報道機関向け内覧会の日で、特別に拝観させていただきました。堂内ではプロジェクションマッピング、浄土庭園の境内では紅葉のライトアップが実施されていました。プロジェクションマッピングはイメージ映像なのかと想像していたところ、5分ほどある映像の後半では、失われた極彩色を堂内に復原しており、期待を上回るクオリテイーで、息を呑む美しさでした。
建立当初、四天柱は帯金物や極彩色(ごくさいしき)で描かれた仏画により荘厳され、両側の壁には彩色画が描かれ、内陣の折上小組格天井には宝相華文(「ほうそうげもん」と読み、空想的な花文様を表す名前として広く用いられる)が描かれていましたが、現在ではほとんど剥落して、一部に残っているにすぎません。これらの彩色をプロジェクションマッピングで再現し、実物の壁や小組格天井に投影しているのです。何がすごいと言って、その細かい小組の一マス一マスにぴったり合うように投影されていることです。真下から投影しているわけではないので、角度が付くはずなのですが、どうすればあそこまでぴったり合わせることができるのでしょうか。映像に疎い私には見当も付きません。また、両側面の壁には、四天柱や長押の彩色が再現され、壁に描かれていたと想像される飛天が舞う映像が映し出されていました。須弥壇に立ち並ぶ仏様も当時は光り輝いていたわけで、堂内の光り輝く極楽浄土の世界を想像することができる5分間でした。文化財とプロジェクションマッピングとの相性のよさを実感することもできました。
もちろん、前半の鳳凰が飛び交う映像や、かつて浄土庭園の池に群生していた古代蓮が咲き乱れる映像も美しかったです。ちなみに、古代蓮は、動物による食害や台風水害により令和3年頃から激減していましたが、いわき市と地域との連携により、この秋に再生への一歩を踏み出したそうです。
境内の銀杏は黄色く色づき、紅葉の赤色もだんだんと濃くなっていきます。ライトアップされた紅葉と阿弥陀堂を見ることができる機会でもあります。11月2日から10日まで行われる「アミダナイト2024」、一見の価値があると思いますので、ぜひ足を運ばれてみてください。