週末には、会津若松市内で桜が満開になりました。鶴ヶ城をはじめとして多くの桜の名所がありますが、今年は「会津五桜」といわれる古木とそれに準ずる古木を見て回ろうと思い立ち、巡っています。「会津五桜」とは、会津風土記や新編会津風土記などにも記された名木で、石部桜、薄墨桜、虎の尾桜、杉の糸桜、大鹿桜の五本の桜を指します。また、これに加えられる名木として、太夫桜、峰張桜、建福寺のしだれ桜などが挙げられています。五桜のうち三本は遅くに咲き始める品種なので、満開にはまだ早く、この土日には、市内にある太夫桜、峰張桜、建福寺のしだれ桜を見て回ることにしました。三本の桜は、会津若松市の天然記念物に指定されています。
まず、飯盛山にある太夫桜。山頂へ上る大階段の手前を左に曲がったところにあります。寛永3年(1626)、いつき太夫という名妓が、花見の折にこの辺りで殺害されたため、弟が霊を弔うために墓畔に植えた桜といわれています。その木は既に枯れ、現在の木は二代目と伝えられます。エドヒガンザクラで、樹高13m。会津に多い一本桜という感じではなく、山腹にある少し大きめの桜という印象。山内にも多くの桜があるので、山全体がきれいです。太夫は、今でいうストーカー的な輩に殺されてしまったのだろうかなどと想像しながら。
次に、蚕養国(こがいくに)神社にある峰張桜。推定樹齢1,000年以上だそうで、御神木となっています。エドヒガンザクラで、樹高13m、幹周囲が5.6mもあるのに、主幹が中折れしているため、枝が少なく、花も寂しい感じがします。根元が大きなうろになっているため、皮一枚で立っているようなものです。以前に他で聞いた話では、養分が通る道として実際に働いているのは、皮のすぐそばの部分だけなので、皮一枚になっても大丈夫なのだそうです。これほどに古い木を保護していくのはたいへんなことだと思います。そばに、樹高1.5mほどに成長した後継木が植樹されていましたので、無事に成長してくれることを祈ります。
最後に、建福寺のしだれ桜。樹齢は分かりませんが、樹高13m、幹周囲2.5m。根元から2.2mのところで双幹となり、南西北の三方に枝が広がり、桜が流れ落ちるような美しい立ち姿です。白っぽい花なので、エドヒガンザクラ系のシダレザクラなのでしょう。
市内の名木といわれる桜を巡ってみたところ、古木であるが故に花が少し寂しい桜もありましたが、エドヒガンザクラは白っぽい花が可憐で、ソメイヨシノとはまた違った情緒がありました。そして、おまけとして。作業所の近くにも名木があることを知りましたので、今日の昼休みに行ってみました。一ノ堰羽黒墓地の種蒔桜といいます。車で近くの道を横断するときに、遠くの方に大きな桜の木があることには気付いていましたが、名木だったとは。田んぼに囲まれた墓地に立つ二本のエドヒガンザクラで、遠くからでも眺められる姿は、まさに会津の一本桜という感じです。これこれ!こういう桜も見たかったのよとも思いました。盛りを過ぎて葉が出始めていましたので、もっと早くに確認しに行ってみればよかったです。
一ノ堰羽黒墓地の種蒔桜