明けましておめでとうございます。平素はご愛顧を賜わり、厚く御礼申し上げます。本年もより一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
さて、昨年末には気分が高揚する出来事がありました。公式には未発表のため、名称等を書くことは控えますが、文化遺産の調査に訪れたお堂で、建築時に間瀬大工が棟梁として関わっていたことを裏付ける墨書を発見したのです。発見と言いましても、町内の方が「こんなものもあるよ」とおっしゃって見せてくださった部材の裏側に書かれていたという状況だったのですが。
そのお堂は、組物が尾垂木付きの二手先、軒が扇垂木、花頭窓を備え、彫刻も美しいというたいへん正統な禅宗様の建物です。会津周辺でこれほどきちんとしたお堂を建てることができたということは、越後大工の関与がまず考えられるのですが、町史などを調べても建物の棟札等のことは書いてありませんでした。ですので、その墨書を見せていただいた時には、「やっぱり!!」という感じで、腑に落ちました。
江戸時代から戦前くらいまで、会津地方には越後国(現在の新潟県)から多くの大工集団が出稼ぎに来ていました。中でも多かったのが、間瀬(現在の新潟市西蒲区)出身の大工集団で、優れた建築技術を持ち、彫刻も得意としていました。この話題については、また別の機会に詳細を書けたらと思います。
年末の調査を通じて、会津地方の文化遺産には、詳しく調査されていない、認識されていないものがまだまだたくさんあるということを再認識いたしました。微力ながら、本年も文化遺産の修理や調査等に尽力していきたいと思います。(写真は本文とは関係ありません。雄国山と磐梯山の遠景です。)