東光寺境内にある昭和63年の修理記念碑に、「現在の本堂は安永九年(1780)の建造であるが」と書いてあり、そんなに古い建物だったんだ!と驚いていたところ、ありましたありました。大間と内陣との境の台輪上端に、建立時の墨書が。脚立を登っていって、柱の上からのぞき込まないと、見ることはできません。小屋裏に棟札はありませんでしたので、貴重な史料ということでしょう。
「大工棟梁当国田村郡三春領荒 和田宗也 本田氏 遠藤氏 厚海氏 □□氏」
「安永九歳子三月吉日立之」
と書いてあります。墨書によると、三春の大工集団が来て建てたようです。安永九年というと、江戸時代後期の真ん中辺りになります。通りで解体していたら和釘がたくさん出てくるわけです。取り外した内法長押も和釘で止まっており、再用が可能な釘は半分くらいでしたので、補充のため、金物屋に和釘を発注しました。
堂内に残された古写真によれば、建立時は桁行にもっと大きな茅葺の大屋根であったものを、昭和の修理で、七間の本堂と棟の低い客間の別棟に分けたようです。修理のたびに改造をしながら、現在まで受け継がれてきたということです。