寺院修理

東光寺本堂修理工事

 4月より福島県伊達市保原町の東光寺にて本堂の修理工事をしています。昨年の3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震により、柱が西に向かって大きく傾いてしまい、鴨居や落とし掛けなどの造作材が柱から抜け出したり、落下したりしていました。土壁の剥落も室内側で大きく、柱際の上塗が落ちている箇所が多数あり、中塗から剥落している箇所もありました。

 内法長押の高さで柱の傾斜を測ったところ、西へ30㎜ほど、北へ15㎜ほど倒れており、全体的に西北に向かって倒れていることが分かりました。天井は高いので、天井付近ではもっと数値が大きいということになります。この傾斜を直し、剥落した土壁を塗り直すのが、今回の修理の目的です。

 チェーンブロック等を用いて柱同士を引き寄せたり、サポート等を用いて柱を押したりして、柱の傾斜を一本ずつ修正します。この準備として、柱を動きやすくするために、長押等の建物を固めている部材を取り外し、柱際の土壁に刃物を入れて柱と土壁との縁を切ります。準備ができたところで、貫楔を緩め、柱同士を引き寄せたり、柱を押したりして、傾斜を修正します。傾斜の修正が終わったら、楔を締め、取り外した部材を元の通りに取り付けて固めます。

 ところが、昨年調査をする中で、昭和に行われた修理で、柱の根元がコンクリートで根巻き補強されていたことが分かりました。かなり大きなコンクリートの塊です。コンクリートが付いている柱を動かすことができるのか、それとも傾斜は柱の上の方だけが曲がって起きたことなのか、それはやってみないと分からないというところでした。

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