神社修理

屋根銅板葺き

 拝殿屋根の銅板葺きが進んでいます。仙台から(有)竹林舎に来てもらっていますが、いつも社寺建築の新築工事でもご協力いただいている会社です。軒付を銅板で包むところから始まり、屋根面を下から葺き上げていきます。一文字葺きといい、平板を屋根面の水平方向に一直線になるように、また千鳥目地になるように並べる葺き方で、銅板葺きの他、現代的なガルバリウム鋼板葺きなどにも見られます。野地板の上に防水シートを貼り、葺板を並べて「吊り子」と呼ばれる金物で下地に固定します。葺板の上辺は吊り子で固定し、下辺は下の葺板のハゼを掴んで巻き込み、葺板を繋ぎ合わせていくのです。

 銅板葺きの場合、隅棟は廻し葺きをします。隅棟左右の葺板を連続させるため、隅棟の部分には円弧を持つ葺板を作り出し、曲線で繋げるのです。形が蛤に似ていることから、この隅棟の葺板を「蛤」と呼びます。蛤は板を叩き出して作るので、加工がしやすい銅板葺きに特有のもので、硬いガルバリウム鋼板などでは廻し葺きはしません。

 逆に、屋根と屋根とがぶつかってできる谷部分では、廻し葺きはあまり使われず、むしろ網代葺きが用いられます。これは、谷に廻し葺きをすると縦ハゼが流水に逆らうことになり、雨漏りしやすいからです。今回、拝殿唐破風の両側にできる谷は、網代葺きとしました。

 拝殿の平葺きは終わり、先週から箕甲の銅板を葺いています。箕甲とは、入母屋造りや切妻造りの反り屋根において、屋根と破風との間にある曲面の部分で、屋根と破風の高さの違いを調整しています。箕甲の下地は、「櫛形」と呼ばれる丸みを帯びた部材をあばら骨のように並べ、この上に幅の狭い板を縦張りします。そして、銅板葺きでは、円弧に作り出した葺板を葺きます。この箕甲の丸みをきれいに作れるかどうかは、屋根の美しさに大きく影響します。

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