文化財修理

下荒井観音堂修理工事完了

 下荒井観音堂の木工事は、先月初めに終わっていました。中旬に仮囲いを解体して、竣工検査を受け、無事に完了しました。これまで書いてきた図面に彫刻や絵様などの詳細を書き込むため、CADでの作図に根を詰めており、ブログなどが滞ってしまいました。昨年度の工事立ち上げの頃から、建物を実測して、工事に使ったり申請書に添付するための図面を書いてきましたが、時間の都合で細かいところは省略していました。工事終了後、町内会で保管していただけるのであれば、できるだけ書き込んだ方がよいと考え、彫刻類を書き込んでいたのです。会津若松市の文化財に指定されているものの、図面類は一切ありませんので、修理工事のために実測した成果をまとめて図面に残していくことは、重要なことと考えます。

 彫刻類の作図の方法として、未だに、CAD上に写真を貼り付けて、上から輪郭をトレースする方法を採っていますが、もっと自動的にできるソフトなどはあるのでしょうか。15年以上も前に、写真の輪郭を自動的に線化してくれるソフトを教えてもらったのですが、その後勤めていた会社を辞めたので、更新は止まってしまいました。効率を考えるのであれば、他の方法も探していかなければならない気がしています。

 さて、工事の方は、柱の不陸・傾斜を修正した後、縁葛などの腐朽した箇所を補修したり、破損・欠損していた縁束や貫を新しく補足して、縁廻りを再び元のように組み立てました。縁束は通りが悪く、高さも揃っていませんでしたので、通りを揃えると位置が若干ずれ、礎石への光付けを直さなければならないものが多かったです。そもそも北側の縁は、道路を挟んだ向かいにそびえ立っていたイチョウの巨木が根を伸ばしてきて、縁束を持ち上げてしまったため、高くなっている部分がありました。今年度、町内会の英断でイチョウの木は伐採されましたので、これからは高くなることがありませんが、縁束石がコンクリートで根巻き補強されていますので、縁束の頂部で高さを調整しました。縁板は、縁板掛け側を楔で締め、縁葛側を目鎹で止めて敷き込みました。

縁葛の補修
縁廻りの組立
縁板取付

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